ねこ館長日記

一茶と善光寺⑤「徳本碑」

徳本碑

雀子も梅に口明く念仏哉  文化句帖 文化元年

 徳本(とくほん)上人は「木喰(もくじき)」という、穀物を断つ一種の断食修業を行った浄土宗の僧侶で、一茶の時代に全国的に崇拝を集めていました。

 文化13年(1816)4月、徳本は善光寺周辺の浄土宗の寺、西方寺、寛慶寺に滞在。信仰心の厚い一茶は、4月22日に寛慶寺に出かけていき、徳本に「十念」(南無阿弥陀仏と十回唱えること)を授かっています。 一茶は文化元年(1804)3月江戸本所の霊山寺でも徳本に十念を授かっていて、その時よんだのがこの句です。

 写真の、独特の書体で「南無阿弥陀仏」と書いた徳本碑は、徳本が布教した各地につくられ、善光寺、西方寺、寛慶寺をはじめ、長野県内だけでその数は181にのぼります。善光寺の徳本碑は、本堂の西側、善光寺史料館へと向かう石畳の道の入り口にあります。