ねこ館長日記

HAIKUの現在と未来を語る~月尾嘉男氏講演

7月20日、今年度の第2回一茶記念館講座を開催しました。今回は、テレビ・ラジオのコメンテーターとしてもおなじみの東京大学名誉教授月尾嘉男先生をお招きして「HAIKU!世界に飛躍せよ」と題してお話いただきました。

日本を代表する文化と言われている俳句ですが、俳句を趣味とする人の割合は全国民のたった2%程度と見積もられ、ほとんどの方が無関心。世間一般の方に広く趣味として定着しているとは言いがたいのが現状です。

一方で、世界各国では、世界でもっとも短い詩として、俳句がどんどん広がっていっています。現在国内では、俳句をユネスコ文化遺産に登録しようという協議会が設立され、運動を行っていますが(当信濃町も参加しています。)俳句を日本文化として世界に発信するために、このような状況でよいのかというのが今回のお話のテーマでした。

これまでも日本人は、浮世絵、建築、日本食など、様々な分野で自国の文化を大事にせず、外国から評価されて初めてその価値に気づくという、もったいないことを繰り返してきました。俳句もそうならないようにしたいものです。

また、俳句のように、物事を縮小して凝縮させるのは、盆栽、茶道、建築から、果ては戦後日本を牽引した工業製品に至るまで、日本人が古来から得意とするところであり、爆発的に資源を消費する物質文明の今後に、この能力は極めて重要な役割を果たすのではないかというお話もありました。

今回はTSUNAMIヴァイオリンコンサートを同時開催いたしました。TSUNAMIヴァイオリンは、東日本大震災で被災した木材を使用して製作されたヴァイオリンです。今回は製作者の中沢宗幸先生(写真上)からお話をお聞きするとともに、細川奈津子さん、川又慶子さんのお二人のヴァイオリニスト(写真下)に3曲演奏していただきました。

なお、本講演会開催に当たっては、長野市の美谷島健さんに仲介等大変ご尽力いただきました。この場をお借りし、改めて感謝申し上げます。