ねこ館長日記

カテゴリー別アーカイブ: ねこ館長日記

企画展「恩田秋夫一茶俳句板画展」が始まりました

一茶記念館では昨年、板画作家恩田秋夫氏(1924~2007)の作品を、ご遺族の恩田通子様より、新たにご70点ご寄贈いただきました。今回の企画展は、これを記念し、また、長年一茶と一茶のふるさとを愛してくださった恩田さんへの感謝の気持ちを込めて開催しております。

恩田氏は大正13年に東京巣鴨に生まれ、東京繊維専門学校を卒業、繊維関係の仕事をしながら、絵画研究所で学びました。その後、昭和31年に武蔵野美術学校西洋画科を卒業、油彩画家を目指しますが、昭和38年から5年間、母校武蔵野美術大学で木版画(板画)の大家 棟方志功の助手を務めたことで、棟方から強い影響を受け、板画制作を始めました。そして、昭和を代表する俳人の一人、加藤楸邨主宰の俳誌「寒雷」の表紙を手がけたことがきっかけとなり、芭蕉、蕪村、一茶などの古典俳句をモチーフとした板画制作に専念するようになりました。

一茶記念館との縁は、昭和41年に、「寒雷」の全国大会で、元館長の故清水哲氏と知り合ったことがきっかけです。その後たびたび信濃町を訪れて、一茶の俳句を題材とした作品を多数遺しました。また、信濃町の町政要覧の表紙も何度も手掛けてくださいました。

やさしい画風で表現された恩田氏の一茶俳句の世界をぜひご覧ください。

一茶野大根

野大根も花咲きにけり鳴雲雀

一茶草市

草市と申せば風の吹きにけり

一茶杉の葉を

杉の葉を添えて配りし新酒哉

今井聖先生に一茶忌全国俳句大会でご講演いただきました

IMG_6443s

11月19日に恒例の小林一茶190回忌全国俳句大会を開催いたしました。

朝、明専寺で法要があり、館では、俳人で、「街」主宰の今井聖先生に、「本当の写生、嘘の写生」と題してご講演いただきました。

はじめに、俳句作りの基本として、誤字脱字は絶対にダメと言うお話があり、帽子の「帽」の字の日や目の間違いや、大きさの違い、匂いという字の選が一本ぬけてしまうなど、ユーモアを交えて具体的にお話しいただきました。

また、類想から抜け出すべしとのお話があり、流行の題材を入れてそれらしく花鳥諷詠に形を整えるのではなく、もっと自由に俳句を作ろう語られました。

平知盛の辞世の言葉「見るべき程の事は見つ」をひきあいに、毎日同じような日課をこなして暮らすような生活をして、類型的な俳句を作るのではなく、自分の体験に基づいた俳句を作ってほしいとお話しいただきました。

お昼は、地元のグループが作る手打ち新そば舌鼓を打ち、午後は表彰式があり、15名の皆さんに、賞状と賞品が授与されました。

悪天候のなかでしたが、たくさんの皆様にお集まりいただき、深く感謝申し上げます。

紅葉まっさかりです

IMG_6402s

IMG_6412s

一茶記念館裏手の小丸山はただいま紅葉の真っ盛りです。

俳諧寺から写真を撮ってみました。

今年は例年より色づきが鮮やかに感じられます。

黒姫山には、今朝、今年二回目の雪が降りました。3回降ると次は里にも雪が降ると言われており、もうすぐ冬が到来します。

工事のため一茶旧宅が見学できません

一茶終焉の土蔵 (2)ss

一茶旧宅と弟屋敷の、茅葺屋根修理工事を実施します。その間、史跡敷地内及び駐車場を、作業のため封鎖します。

工事期間 平成28年10月14日~12月28日(※最長)

皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。

なお、工期は最長の場合であり、先行する旧宅は、工事完了後足場が外れれば、外観の見学は可能となります。工事の進捗状況などは、随時お知らせいたします。

玉城司先生が一茶と千代女を語る

IMG_6333s

9月24日、今年最後の一茶記念館講座を開催しました。今回は、現在開催中の交換展「加賀の千代女」の関連イベントとして、近世俳諧の研究者玉城司先生に「加賀の千代尼から信濃の一茶まで」と題してお話ししていただきました。

千代女と一茶は60歳年が離れており、直接の面識もありません。また、後輩にあたる一茶も、千代女に関しては若干の句を書き写している程度でした。しかし、玉城先生は、

1.どちらも地方の庶民階級の出身であり、(千代女は表具屋の娘、一茶は農民の子)地方において活躍したこと

2.どちらも浄土真宗の檀家で、深く仏教に帰依し、作品にその宗教観が現われていること

といった共通点を、両者の生涯や作品を比較しながらお話しいただきました。

交換展「加賀の千代女」ギャラリートーク

IMG_6327s

9月24日に、現在開催中の交換展「加賀の千代女」のギャラリートークを開催しました。

講師は、白山市立博物館学芸員の金山弘明氏。金山先生は同市の千代女の里俳句館立ち上げを行った方で、千代女の生涯と、今回展示している千代女の資料にたいへん造詣が深く、詳しく解説していただきました。

俳人日下野由季さんと親子で俳句入門

IMG_5792s

7月30日に「親子で学ぶ俳句入門教室」を、小学生の親子を対象に開催しました。中学3年生から、保育園の年中さん9人と、お母さん、おばあちゃんに参加していただきました。

講師の日下野由季(ひがのゆき)さんから、最初に575の言葉で、季語を入れて作る俳句の特徴についてお話がありました。

そこから、今回は、「夏の思い出」をテーマに、みんなで季語を出し合いました。かき氷、せみ、扇風機、キャンプなど、たくさんの季語が浮かびました。

そして、出てきた季語にまつわる夏の思い出を文章にしてみることになったのですが、低学年のお子さんが多かったこともあり、みんな悪戦苦闘。でも、日下野さんが一人ずつ一生懸命教えてくれたので、それぞれ少しずつ俳句の形になっていきました。

できた俳句は、色鉛筆なども使って、1枚の絵ハガキに仕上げ、最後にみんなで発表しました。夏の思い出が俳句の形でそれぞれの胸に残ったのではないでしょうか。

新資料「梅太郎宛書簡」展示中です。信濃毎日新聞掲載

梅太郎小

この度信濃町内の収集家の方が入手した一茶の新資料、「梅太郎宛書簡」が信濃毎日新聞で紹介されました。

信濃毎日新聞の記事

この書簡は、一茶の忠実な門人の一人西原文虎に宛てたもので、この資料の発見により、両者の交渉の始期が2年余りさかのぼることになります。

この時の文虎は、まだ幼名梅太郎を名乗る若干二十歳の青年です。江戸在住の一茶は、故郷永住を見据えて、信濃での門人づくりに励んでいた時期で、手紙の内容も梅太郎の句の添削に関する返信です。

実は同日に他の門人にもそっくりな内容の手紙を送っており、一茶記念館では、両方を比較展示しています。9月末頃まで展示していますので、ぜひご覧ください。

中学生のお手伝いで企画展準備完了

IMG_5721s

本日から開催する企画展「一茶の江戸暮らし」

今回は、7月5日から7日までの3日間、地元信濃小中学校の8年生(中学2年生)二人が職場体験に訪れ、展示準備を手伝っていただきました。

当然ですが2人とも展示準備の作業は初めてです。最初はパネル作成に挑戦してもらいましたが、とても丁寧に作業を進めてくれて、作り馴れている学芸員よりも上手なくらいでした。

後半は展示室で資料の陳列やキャプション貼り。現場での仕様変更にも迅速に対応してくれて、スムーズに会場づくりが進み、2人が帰るころには無事会場が完成しました。

今回の展示では、一茶の江戸での暮らしぶりをテーマに、交遊関係、住まい、訪れた名所の3つのコーナーを設けて、資料からわかる一茶の江戸での生活をご紹介しています。中学生たちの奮闘で完成した企画展をぜひご覧ください。

高橋敏名誉教授の熱血講義

IMG_5702s

6月25日に第2回一茶記念館講座を開催しました。

今回は、近世民衆史・教育史の専門家で、著作も多数ある、国立歴史民俗博物館名誉教授の高橋敏先生をお招きし、「江戸の平和力―俳人一茶と百姓弥太郎―」と題してお話しいただきました。

高橋先生は、今回の講座のために約半年間にわたって綿密なご準備をいただきました。一茶は突如北信濃に現れたのではなく、近世北信濃の高い文化レベルが一茶を生み、晩年に帰郷した一茶を受け入れたという視点から、本を一冊書けるほど、多数の地方資料を読み解き、一茶と北信濃の文人、文化の源泉について調査され、それを基に講義していただきました。

一茶を庇護した柏原宿の本陣中村六左衛門家や、中野で江戸の文人たちを迎え入れ、晩晴吟社に関わった山田松斎の再評価、そして、天領支配における中野代官と、地方豪農たちの関係などから、一茶の生きた時代の北信濃を活き活きと解説いただき、また、一茶についても、なぜ柏原に門人ができなかったのかを、地域コミュニティとの付き合い方という新たな視点で論じていただきました。

先生の一茶と北信濃の研究にかける熱意が会場にも伝わり、会場全体が熱気を帯びたように感じた講演は、異例の30分延長でしたが、参加した皆さんからは、非常に好評価していただきました。