ねこ館長日記

月別アーカイブ: 2018年6月

一茶の新事実を矢羽先生が語る

6月30日、今年度の第1回の一茶記念館講座を開催しました。今回は、一茶研究の第一人者である、上田市在住の矢羽勝幸先生を講師にお招きし、「一茶と二六庵」というテーマでお話いただきました。

青年期に江戸で俳諧の道を志した一茶は、「葛飾派」と呼ばれる流派に入門し、何人かの俳人に師事しましたが、そのうちの一人二六庵竹阿から、「二六庵」の庵号を継承し、「二六庵一茶」と名乗りました。

これまで、一茶が二六庵を名乗った時期は、寛政11年(1799)から享和元年(1801)の間とされてきましたが、昨年当館が発見した新資料により、享和3年まで名のり続けていたことが判りました。

一茶記念館ではこの新資料「一馬三回忌追善集」を矢羽先生に研究していただき、その成果を今回初めて発表していただきました。庵号は、俳諧宗匠(流派公認の俳諧の師匠格)の資格を示すものであり、一茶は俳諧宗匠として、この本が出た翌年、文化元年か、さらにその次の年まで活動していたと考えられます。

一茶はちょうどこの時期、葛飾派を離れ、夏目成美ら、当時の江戸の一流俳人との交流を活発に始めますが、一説には破門されたとされる葛飾派離脱の理由や、その時期などは、これまで様々な説が提唱され、定説がありませんでした。今回の講演では、新しい発見を元に、この問題に新たな光が当てられました。

今回の新資料は、講演後一茶記念館常設展示室で展示しております。よろしければ是非ご覧ください。

 

マンドリンのやさしい音色

6月10日に、童謡「一茶さん」マンドリン演奏会を開催しました。プレットロ・ロマンティコのみなさんは、名古屋市を中心に活躍されている合奏団で、「一茶さん」の作曲家中野二郎氏のご子息、中野雅之さんの指揮のもと活動しています。

今回は、「一茶さん」のほか、「夜更けのオルゴール」、「赤い鳥小鳥」、恒例となっている「ふるさと」などの名曲を、マンドリンの音色と、美しい歌声で演奏し、観客を楽しませていただきました。

プレットロ・ロマンティコは今年が結成50周年となる歴史ある楽団です。節目の年を迎えて、ますます素晴らしい演奏を届けていただきました。

柳沢京子さんが来館されました

本日から、企画展「一茶365+1きりえ~柳沢京子の世界~」を開催しております。柳沢京子さんは。「一茶かるた」をはじめとしたきりえの作品を多数発表されている、長野県を代表するきりえ作家です。

この企画展は、柳沢さんが昨年出版された、企画展と同タイトルの作品集に収録された作品を中心におよそ30点を展示しております。シャープな線と、淡い彩色の作品群で、いつもより展示室が華やいで見える企画展となっています。

本日は初日ということで、作者の柳沢京子さんがお越しくださいました。ちょうど団体のお客さんが入られていて、ご紹介申し上げると、歓声があがっておりました。

企画展は、8月26日(日)まで、展示替えをはさんで開催しております。皆様ぜひご覧ください。