ねこ館長日記

月別アーカイブ: 2014年10月

紅葉の季節です

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山寺のみな堂下へ紅葉哉  一茶

一茶記念館周辺は紅葉真っ盛りです。館の裏手の俳諧寺周辺では写真のように様々な色の木々がご覧いただけます。

館から見える黒姫山もきれいに色づいています。先日の朝には、今年初めて頂上が白くなりました。黒姫山に三度雪が降ると、里にも雪が降ると言われています。今年は初雪が早そうです。

由緒ある名菊「巴の錦」を展示しています

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勝声や花咲爺が菊の花  一茶

現在一茶記念館では写真の「巴の錦」という菊を玄関で展示しています。
江戸時代初期の寛永年間ころに、加賀百万石の大大名前田家3代当主利常候が、参勤交代で善光寺を訪れた際に鑑賞し、名付けたといういわれのある菊です。
この菊は、近隣の長野市大豆島地区で古くから栽培されており、一茶記念館では、同所の「巴の錦」保存会からお借りしました。

 来年には、北陸新幹線長野~金沢間が開業しますが、この二つの地方の古くからの結びつきを、前田公の参勤交代という象徴的な出来事を通して知ることができる由緒ある菊です。表側が鮮やかな赤、裏側が黄金色というコントラストが素敵です。

なお、冒頭の句は、「菊合(きくあわせ)」という、菊の品評会の様子を詠んだ句です。一茶の生きた江戸時代後期は、園芸が非常に盛んになっていて、菊作りも庶民の間で大流行していました。一茶も何度も菊を見に出でかけています。

牛山佳幸教授から中世の善光寺を学ぶ

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10月18日に、今年度最後の一茶記念館講座を開催しました。今回は、信州大学教授の牛山佳幸先生をお招きし、「善光寺と善光寺信仰」と題してお話をお聞きしました。

先生のご専門は、中世善光寺の女人信仰を中心とした分野で、今回は鎌倉・室町時代に、善光寺を参籠(さんろう)した2人の人物のお話をいただきました。

参籠とは、参拝と異なり、堂内で何晩か夜を明かすことです。中世には、宿坊や旅籠はなく、参拝者は本堂で7~14日程度宿泊するのが一般的でした。

1人目の後深草院二条は女性で、女人救済を求めて善光寺に参籠した紀行文「問はず語り」を残しました。

2人目の堯惠は、歌学を修めた天台宗の僧侶で、善光寺には2回参籠しています。その様子を「善光寺記行」「北国紀行」という作品に残しました。

二人の旅の様子から、当時の善光寺参籠の様子をお話しいただきました。非常に専門的なお話でしたが、普段知ることのできない善光寺の側面を知ることができました。

故秋山巌さんの娘さんご夫妻が来館されました

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板画家の故秋山巌さんの娘さんである、町田珠実さんご夫妻が本日ご来館されました。(写真左から、静谷教育長、町田さん、町田さんの旦那さん)

秋山さんは、棟方志功の弟子にあたり、一茶の俳句をモチーフにした作品も多数制作されています。一茶記念館では現在、一茶俳句板画展を開催しており、秋山さんの作品も展示しておりますが、秋山さんは、残念なことに、先月94歳でお亡くなりになってしまいました。

町田さんからは、故人の遺志ということで、秋山さんの貴重な肉筆画作品をご寄贈いただきました。2013年の作品で、一茶の「菜の花のとっぱづれなり富士の山」という句をモチーフにした作品で、現在企画展示室で展示しています。作品を見ながら、故人の想い出話に花が咲きました。

千代女全国俳句大会に参加してきました

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10月11日に、石川県白山市で開催された、「第98回千代女全国俳句大会」に、信濃町とその周辺にお住いの皆さん18人で参加してきました。白山市は、江戸時代の俳人「加賀の千代女」のふるさとで、一茶記念館と長年交流を行っています。

当日は、行きの北陸道が事故のため1区間通行止めになっているなどハプニングもありましたが、雲一つないさわやかな秋晴れののなか、午前中は千代女ゆかりの地を訪ね歩いて吟行し、午後は俳人片山由美子さんの講演会と表彰式に参加し、北陸土産を買いこんで無事帰宅できました。

参加した皆さんの、席題俳句の入選は惜しくもありませんでしたが、兼題の部で、お二方が入選されましたので、ご紹介させていただきます。

黒田杏子先生選 入選
ヘブンてふ青き朝顔空に溶く  吉池野草さん

片山由美子先生選 つるべ賞
成人式出世しさうな顔ばかり  竹内恒男さん

総合にゃんこ・わんこファン投票番付 発表!

 ファン投票総合

7月18日(金)~9月28日(日)まで開催いたしました「猫と犬と一茶」は、おかげさまで大好評のうちに幕を閉じました。

あらためまして、ご来場いただきました皆様、そして書店などで本を手にしてくださった皆様、どうもありがとうございました!

そして期間中、ご来場の皆様にお気に入りの写真へ投票をお願いしておりましたが、総合ランキングが出ましたので発表いたします!

第1位 狗(えのころ)も走りくらする小ぞり哉

第2位 猫の子のまま事をするすすき哉

第3位 狗(えのころ)の先(まず)つくばひぬ雪仏 

第4位 盗ませよ猫も子ゆへの出来心(できごころ) 

第5位 盗人と人に呼ばれて猫の恋

第6位 猫の子のくるくる舞(まい)やちる木の葉

第7位 猫の飯相伴(しょうばん)するや雀の子

第8位 面の皮いくらむいてもうかれ猫

第8位 うら町や大卅日(おおつごもり)の猫の恋

第10位 桃の門(もものかど)猫を秤にかける也

中には期間中に4回も足を運んでくださった方や、東京の書店で本を見つけたことがきっかけで今回の企画を知り、遠路はるばるお越しくださった方、四国から一茶さんの足取りをたどって、フィナーレにこの一茶記念館を訪れてくださった方も。

日本全国からこうしてお越しいただける一茶記念館は、本当に幸せです。どうもありがとうございます。

これからも、一茶さんの資料を大切に守り、皆様に喜んでいただける一茶記念館としてがんばってまいります。

重ね重ね、今回の企画、どうもありがとうございました。

展示期間は終わりましたが、上位30位までのにゃんこ・わんこのお写真は館内に展示しておりますので、よろしければどうぞご来館お待ちしております。

また、信濃毎日新聞と一茶記念館の共同出版した「猫と一茶ふたたび」、「犬と一茶」は、書店、一茶記念館で好評販売中です。

                     ねこ館長 うみ