ねこ館長日記

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俳人石寒太先生の解りやすい俳句・連句論

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6月21日に開催した一茶記念館講座では、俳人で、「炎環」主宰、「俳句αあるふぁ」編集長の石寒太先生に「行きて帰る心」と題してご講演いただきました。

題からは、非常に難しい内容を想像されるかもしれませんが、さにあらず、松尾芭蕉の俳論「くろさうし」にある演題の言葉をキーワードに、多数で作る「ダイアローグ」である連句が、芭蕉によって歌仙になり、さらに、明治時代に正岡子規によってその発句部分だけが独立して、個人で作る「モノローグ」の俳句になっていった過程を、非常にわかりやすく解説していただきました。

「行きて帰る心」とは、俳句(発句)において、一つの方向に向かった心を、もう一度引き戻す形にすることがポイントであるという意味です。石先生は、明暦の大火で庵が焼失したのち、旅に死ぬ一生を選んだ芭蕉の生き方を例に、ご自身の闘病体験にも触れながら、人生もまた「行きて帰る心」だと、残りの人生を、最期に良かったと振り返れるものに今からでもしていきましょうと、集まった皆さんに語られ、会場からも盛大な共感の拍手が送られました。

一茶の本物・偽物 比べてみましょう

一茶自筆資料は残念ながらあまり多くありません。一茶没後100年を過ぎた1900年代には、多くの写しあるいは、偽物が作られるようになりました。「一茶全集」を見ても、写し資料を活字にしたものがたくさんあります。だから、これからも、本物は見つかってくると思います。

さて、一茶の門人吉村魚淵(なぶち)に宛てた手紙も、そのひとつです。今年、199年ぶりに本物が見つかりました。勢いがあって、しっかり書いています。この横に、今まで伝わってきた写し、偽物を展示しましたので、比べて見てください。

入館された方にお聞きすると、答えはハーフハーフです。是非、本物の一茶に会いに来てください。末尾の俳句を紹介します。

  神送 鳶ひよろひゝよろ神の御立げな

  1816年(文化13)10月7日の手紙です。

魚淵宛手紙

 

 

ねこ館長うみちゃん活躍中!

7月18日から、次の企画展「猫と犬と一茶」が始まります。みなさんの投稿有難うございました。『猫と一茶ふたたび』『犬と一茶』の出版も間近になってまいりました。お楽しみに!

ところで、館長さんはいらっしゃいますかと、声をかけてくれるお客さんが多いです。一茶記念館で、一茶の次に愛されているのは、どうも、館長のうみちゃんらしいですね。毎日やってきて、資料棟のツグラの中でお昼寝しているらしいです。ぜひ、企画展を見にきてくださいね。

恋猫や答へる声は川むかふ

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信濃町にもホタルがやってきました

蛍の飛翔が各地で話題になってきましたが、信濃町はこれからです。例年、6月末から7月上旬がホタルのピークです。みなさんぜひ、どこかでホタル観察をお楽しみください。

北信濃でもっとも多いのは、信濃町古間戸草の芋川用水の取り入れ口からホタル水路沿いです。6月20日から観察を始めました。

いました。ゲンジボタルが合計12匹、ピークまでには10日位かかります。7月5日(土)にホタルの会が、ホタル学習会を行うそうです。ぜひおでかけください。

今年はどのくらい出てくれるでしょうか。楽しみですね。

昨日は、流れ星も見えました。

 蛍見の案内やするや庵の犬

★0101 駒村利敬 納屋の番小

 

 

6月21日(土)は一茶記念館講座

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涼しさにぶらぶら下(さが)る毛虫哉  一茶

今年は全国各地で毛虫(マイマイガの幼虫)が大発生しているようです。皆さんのお宅の周りはどうでしょうか?一茶記念館の裏手の小丸山公園でも大発生しており、職員がこまめに除去していますが、追い付かない状況です。ご来館の際はご注意をお願いします。

さて、今週の土曜日は、俳人の石寒太さんをお迎えして、第2回目の一茶記念館講座を開催します。松尾芭蕉の俳論『三冊子』の「行きて帰るこころ」という連句論から、俳句と連句の違い、共通性、特質をお話しいただきます。皆さん是非ご参加ください。

【一茶記念館講座】

日程:6月21日(土) 14時~16時
演題:「行きて帰るこころ」
講師:石 寒太(俳人/「炎環」主宰/「俳句αあるふぁ」編集長)
料金:一茶記念館入館料(大人500円)で聴講できます

水ヨーヨーに大苦戦「一茶さんと遊ぼう!」

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信濃町PRキャラクター「一茶さん」と遊んじゃおう!という今回の企画。2歳から小学生までのお子さんに親御さんも加わって、一茶記念館の2階研修室でいろいろな遊びに挑戦しました。

はじめに歌のお姉さん北村優希さんが登場。子どもたちと一緒に、童謡「一茶さん」を練習してみんなで歌いました。みんな覚えてくれたかな?中には口ずさんでいる子もいました。

続いて水ヨーヨー(ぼんぼん)と、お面づくりに挑戦。水ヨーヨー作りはコツと腕力が必要でみんな大苦戦。風船の口を閉じるのに失敗して、中から水が勢いよく吹き出し、びしょ濡れにしちゃった女の子、本当にごめんなさい・・・

そしていよいよ「一茶さん」が登場。ジャンボかるた取りにも参加して、子どもたちとも大いにふれあいました。

みんな満足してくれたかな?第2回は7月26日(土)に予定しています。小さいお子さんのご来館をお待ちしております。

明日は「一茶さんと遊ぼう!」

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子ども向けイベント「一茶さんと遊ぼう!」を開催します。信濃町PRキャラクター「一茶さん」が登場。みんなで一緒に遊びましょう。参加無料。小さいお子さんも家族の方と一緒に参加できます。週末はお子さん、お孫さんと一茶記念館へお越しください。

【一茶さんと遊ぼう!!】

日程:6月7日(土) 10時~11時

場所:一茶記念館

内容:お面づくり/ジャンボかるた取り/水ヨーヨ(ぼんぼん)づくり

九輪草の季節です

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九輪草四五りん草で仕廻(しまい)けり  一茶

一茶の代表作「おらが春」のなかで、故郷を描いた一節に出てくる句です。雪は夏まで残って、秋には霜が降りる土地なので、気候の良い土地からどんな植物を持ってきても、みんな姿が変わってしまうと書いています。

九輪草の名前は、お寺の五重塔などのてっぺんについている「九輪」という金属製の装飾に形が似ているのが由来です。九輪は、文字通り、9個の輪を串刺しにしたような形をしていますが、九輪草も、長い茎に、輪状に花が付き、それが何段も重なる姿をしています。寒くてやせた土地なので、その数が少ないと自虐交じりに詠んだ俳句です。

一茶記念館の九輪草は現在3段くらいの花の輪っかが出来ています。今年はどこまで増えるか楽しみに観察しています。

一茶記念館講座に俳人マブソン青眼さん登場

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5月24日に、今年度の第1回の一茶記念館講座を開催しました。今回の講師は、フランス出身で、長野市在住の俳人マブソン青眼さん。「江戸のエコロジスト一茶」と題してご講演いただきました。高校時代に日本に留学して俳句に出会ったというマブソンさん。その後大学院時代に一茶を研究し、長野オリンピックの国際交流員として来日し、以来20年日本に在住。娘のミドルネームに一茶の娘からとって「さと」と付けるなど、一茶を深く愛する俳人です。

講演では、晩年の一茶の作品を通じて、平等、博愛の精神を持ったヒューマニストとしての一茶、悲しい出来事の連続のなかで、「雅鄙混交の美学」ともいえる境地に達し、大俳人から、思想家と称せるほどの境地に達した一茶についてなど、独創的な視点から、軽妙なテンポでお話しいただき、参加者の皆さんから、大変ご好評をいただきました。

一茶新資料「ばせを忌に」長野市長沼でみつかりました!

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長野市長沼は、門人がもっとも多く、一茶が664日も宿泊した所です。ここから新たな一茶資料がみつかりました。文政8年63才頃の作品で一茶の句が3句書かれたものです。一茶が活躍していた時代は俳諧が盛んだったようすが伝わったきます。常設展示室でご覧ください。

  ばせを忌や十人よれば十ケ国

  白い炭などとはたへる隠者哉

  夜々や鰒で生てる外員部屋    一茶